読谷村(9) 安保の丘

2008年3月26日(水)

安保の丘

 
<安保条約>
1、安保条約は、1951年4月28日、日本の独立と引き替えに米国との間に結ばれた。条約の発効は52年である。この日米安保は、1960年、一度改訂された。安保条約のポイントは、「アメリカは、日本及び極東の安全を守るため、軍隊を日本に置く。日本はアメリカのため、基地を提供する」ということである。
 
2、日米安保のため、提供した米軍基地は、本土では、ほとんど国有地であるが、沖縄では個人有地が3分の2以上を占める。しかも、沖縄の米軍基地は全国の75%にも及ぶ。日本全体で担うべき日米安保の重荷が、小さな沖縄にのしかかている。
 
3、沖縄では、米軍占領によって、個人の土地であろうが文化史跡であろうが必要な所はすべて接収され、アジア最大の米軍空軍基地にされた。軍事優先の米軍支配の後、1972年に祖国復帰したが、米軍基地の実態は変わらない。日米安保の重荷も変わらない。米軍基地の存在は、沖縄の発展を大きく阻害している。
 
<嘉手納基地>
1、嘉手納基地は、旧日本軍が作った「中飛行場」を米軍が接収し拡張してつくられた。4000mの滑走路を2本持つ巨大な基地である。空軍だけでなく海兵隊や海軍も使い、米本国とも直接つながる高度な機能を持つ戦略・作戦基地であり、強固な格納庫群や修理工場をもつ。隣接して広大な嘉手納弾薬庫基地を持ち、攻撃に必要な爆薬等はすべてある。更に、米人住宅やショッピングセンター、教会、学校、ゴルフ場などがあり、アメリカ合衆国の一部の状態である。
 
2、日本政府は「思いやり予算」といわれる条約・協定上根拠のない経費も含め、米軍の経費の実に7割を負担している。その金額は、95年度で、米兵1人当たり千四百万円とわれ、韓国の17倍、ドイツの36倍と言われる。この予算はすべて国民の税金である。現在はもっとサービスが増している。「日本は世界一気前がよい」と米国を喜ばせたが、現在、全額負担まで要求していると言われる。
 
3、嘉手納基地は、極東に限らず、戦後のアメリカの関わる世界の紛争に関わり、出撃基地として機能した。朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争である。嘉手納基地は、安保条約の範囲を遙かに超えて、アメリカの世界侵略の拠点にされている。また、最近、北朝鮮のミサイル発射を口実に、パトリオットが配備された。
 
4、常駐する軍用機
      F15イーグル戦闘機・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48機
      KC135Rストラクトタンカー空中給油機・・・・15機
      P3Cオライオン対潜哨戒機・・・・・・・・・・・・・・・・・・10機
      MC130Hコンバットタロン特殊作戦輸送機・・10機
      HH60Gペイプホーク救難機(ヘリ)・・・・・・・・10機
      E3Bセントリー空中早期警戒管制機・・・・・・・・・・ 2機
      HC130ハーキュリーズ救難機・・・・・・・・・・・・・・ 2機
    外来機
      巨人郵送機C5Aギャラクシー、F16ファイティンク・ファルコン、C141スターリフ   ター郵送機、FA18ホーネット、AV8Bハリアー、グアムのB52戦略爆撃、      U2偵察機、最新鋭戦闘機F22等。
    F22は、米本国バージニア州ラングレー空軍基地所属の戦闘機12機で、米本国外への配備ははじめて。F22はF15の後継機として開発され、レーダーなどから探知されにくいステルス性能と超音速巡航能力を兼ね備える。
 
5、嘉手納基地の沿革と主な事故
 1943, 9 旧日本陸軍航空本部が建設工事を開始
     45, 4 米軍の占領、拡張工事
     51, 6 サンフランシスコ講和条約調印
     59, 6 石川市の宮森小学校にジェット機墜落。児童11人を含む17人死亡。                けが人120名の大惨事。
     61,12 給油機が屋良の民家に墜落炎上。死者2人、負傷8人、全焼3棟
 
     65, 2 ベトナム戦争で北爆開始。嘉手納基地、拠点
     66, 5 KC135米軍空中給油機がコザ市と嘉手納村の境に墜落。
  66~68 嘉手納村屋良で航空燃料や洗剤による汚染。「燃える井戸」事件
     68,11 B52戦略爆撃機が離陸直前に爆発。
     72       本土復帰
     74, 9 MC130輸送機が離陸失敗墜落。
     75, 6 F4ファントム機が夜間訓練中伊江島海上で墜落。
     77,11 F4ファントム機が伊江島沖で墜落、乗員2人行方不明。
     48, 5 F4ファントム機がキャンプハンセン内に墜落。
     79, 9 F15イーグル配備開始。
     80, 5 E3A空中管制機配備開始。
     82,12 F15戦闘機2機北部本島海上に墜落。
     86, 6 F15戦闘機2機本島北東海上に墜落。
     87, 5 F15戦闘機2機本島東海上に墜落。
     88, 8 飛行場から比謝川に油流出。県企業局が7時間の取水停止。
     89, 4 SR71偵察機が、離陸直後エンジン故障で墜落。
 
     91, 1 湾岸戦争
     93, 7 県企業局が中頭の水源地とする嘉手納基地内の井戸がリーゼル汚染。    94, 4 F15戦闘機が離陸直後嘉手納弾薬庫内に墜落。
     95,10 F15戦闘機が喜屋武岬沖で墜落。
     98, 5 「嘉手納爆音訴訟判決」差し止めは退け、国に14億の賠償命令。
     99, 6 ハリアー戦闘機、離陸に失敗墜落炎上。
     02, 4 F15戦闘機風防ガラス落とす。
     02, 7 F15戦闘機風格納庫で火災。
     02, 8 F15戦闘機本島南海上で墜落。
 
     03, 3 イラク戦争。
     03, 9 U2偵察機4機が2ヶ月にわたり駐留。
     04,10 F15戦闘機2機が本島南の海上で接触事故。
     06, 1 F15戦闘機が伊計島沖で墜落。
     06,10 パトリオット・ミサイル配備。

(以上ここまで、平和ガイド・伊佐眞政さんが制作なさった資料のテキストをほぼそのまま使わせていただきました。ありがとうございました。)